リアリズムと防衛を学ぶ

本の感想などを書いています。

「リアリズムと防衛を学ぶ」の09年お勧めエントリ総まとめ

大晦日です。今回はHashさんを真似て、ブログ開始から現在までのエントリーの中から、大きな反響を頂いたものを振り返り、年末のご挨拶とさせて頂きます。

09年 春(4〜5月) ブログ開始、北朝鮮の核実験、ピースボート


「戦争なんか起こるわけがない」は思い込みだという歴史的実例 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
この記事ではフォークランド、湾岸などの戦争の例をあげました。「戦争なんか起こりっこないよ」という楽観がいかに外れてきたのかを書きました。



ピースボートと自衛隊の平和な関係 〜カンボジアPKOの場合〜 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
ソマリア沖でピースボート海上自衛隊に護衛された」というニュースが話題になりました。それを受けて、かつてのカンボジアPKOで自衛隊がピースボートと関わったときの面白いエピソードのご紹介です。



自衛隊の戦闘機が、撃たれる前に撃つ日 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
防衛大綱の改正案で、スクランブルの武器使用規定を緩和する案がだされました。それを受けて、現行の規定がもっている欠陥を指摘しました。



北朝鮮のミサイルから日本を守る5つの方法 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
北朝鮮のミサイル(人工衛星)発射を受けて、テレビや新聞ではミサイル防衛がらみの解説が多くなされました。しかしそれらはミサイル対策のごく一部に話を限った、偏ったものが多いようでした。そこで総合的な解説をこころみてみました。



なぜ北朝鮮は核実験をしたのか? - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
時事問題をじっくり解説した初めての記事です。新聞やテレビではわざわざ説明しない、「そもそも」まで立ち返って書くスタイルを試みてみました。

6月 初のホッテントリ入り


日本国憲法は意外と先制攻撃を認めている - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
北朝鮮がらみで敵基地攻撃論議が高まっていました。ですがごく基本的な国際法や、これまでの議論の情報を欠いているために、見当違いになってしまっている議論が散見されました。そこで「考えるための材料」になればと思い、ごく当たり前の情報を、できるだけ分かり易くまとめてみました。この記事は拙ブログで初めてホッテントリ(一般)入りを果たし、「週刊オブイェクト」様から言及、トラックバックを頂きました。


安全保障とは何か―脱・幻想の危機管理論 (平凡社新書 (004))
防衛に興味をもった方におすすめしたい3冊の名著 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
防衛についての入門書をピックアップして紹介してみました。ここで挙げた鍛冶さんと小川さんには、常に信頼がおける軍事アナリストとは言い難い面があります。(詳しくはオブイェクトを参照)ですがご紹介した入門書については、入門用と割り切るなら、やはりとてもいい本だと思います。拙ブログを読んで下さり、もっと詳しく知りたいな、とお思いになった方には、まずこの3冊がお勧めです。

7月 ブログのスタイルが固まる。「戦争はなぜ起こるか」シリーズ

この頃には、もっと基本的な問題やギモンに焦点をあてて解説する、といううちのブログの方針が固まってきました。

「ヒトはなぜ戦争をするのか?」アインシュタインとフロイトの往復書簡 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
これもその方針の一環で書いた記事です。



「戦争はなぜ起こるか」 1 フランス革命戦争の場合 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
全五回の連載となる「戦争はなぜ起こるか」の第一回です。フランス革命から大戦まで、戦争の始まり方に焦点をあてたシリーズです。第一回は、軍事的現実をみずに勇ましいことばかり言う政治家についてです。



戦争はなぜ起こるか2 マスコミと戦略が起こしたクリミア戦争 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
シリーズ第二回は、マスコミや民意が戦争に突っ走った例をあげました。日本では戦争を始めるのは軍人が悪いんだとばかり思われがちですが、実はマスメディアや一般市民の熱狂が戦争をはじめる、ということもあるのです。



戦争はなぜ起こるか3 普仏戦争の場合 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
第三回ではビスマルクとナポレオン3世をとりあげました。冷静に戦争をコントロールしたビスマルクと、プライドや政局に流されてうかうかと戦争に突っ走ったナポレオン3世のフランスが対比されています。



平和と軍事の関係が一目でわかるピースボートの写真 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
自衛隊に護衛されるピースボートの写真を紹介した記事です。無政府状態のソマリア沖をピースボート(平和の船)が通るには、護衛艦に守ってもらう必要がありました。そこから普遍的な軍事と平和の関係について考えてみました。

8月 自衛隊についての解説・紹介記事

この月は自衛隊の解説記事を主に書きました。

自衛隊の意外な活動1 注射器や包帯で戦う自衛官 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
自衛隊は不祥事を起こしたら大きく報道されるけれど、良いことをしてもあまりニュースになりません。そこで余り知られていない自衛隊の活動に焦点を当てました。



なぜ自衛隊は街中でも迷彩服を着てるのか? - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
先の記事に関連して、自衛隊の服装トリビアを書きました。ほんのちょっとした薀蓄のつもりだったのですが、イラクでの活動に関する部分が大きな反響を呼びました。


【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
自衛隊の自殺問題について書きました。「自衛隊は自殺が多い」という風聞があったので、それがどの程度事実なのかちょっと考えてみたのが上の記事です。エントリ中にいくつか間違いがあったのですが、ブクマやコメント欄で適切なご指摘、ご指導を多く頂けて助かりました。



それを受けて、今度は自殺の数ではなく原因について書いたのが次の記事です。
【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
自衛隊の自殺というと、訓練が厳しいんだろうとか、イジメがあるんだろう、みたいな先入観をもってしまいがちです。ですが調べてみると、その意外な原因が明らかになって、私も驚きました。筆者としては、1の記事よりも原因に迫ったその2の方がお勧めです。

9月 時刻表と戦争、中立国の戦い、陸上総隊


戦争はなぜ起こるか4 時刻表と第一次世界大戦 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
シリーズ4回目は、第一次世界大戦です。誰も大戦になるとは思っていなかったのに、あれよあれよという間に事態が転がっていく様を追いました。多くの方から「面白い」というご感想をいただけました。



「中立国の戦い スイス、スウェーデン、スペインの苦難の道標」 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
永世中立国スイスが、いかにして第二次世界大戦を乗り切ったかを追いました。それを通して中立の難しさや、可能条件を考えてみました。



自衛隊のチームプレーが良くなる、陸上総隊の設立 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
陸上総隊はイゼルローン要塞にはならない - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
陸上自衛隊が予定している大改革について書いたエントリです。編制関係のことは、一般人にとっては分かりにくい問題です。なので身近な「会社」の「本社と支社」の関係になぞらえて解説してみました。

10月 追悼・江畑謙介氏、戦車シリーズ開始、くらま衝突事故

江畑謙介氏のメッセージ - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
江畑謙介氏が亡くなられました。多くの人から惜しまれる、早すぎる訃報でした。死者を冒涜する一部の人々の暴言に端を発した論争が起こりました。私はそちらには関与せず、故人のお考えを振り返ろうと試みました。



日本は島国なのになぜ戦車が必要なのか? part1 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
新しいシリーズものです。未だに散見される戦車不要論への批判を通して、「そもそも日本の防衛って、どう考えればいいの?」ということを書こうと試みています。パート1では戦車の兵器としての特質から、それが戦術的にどう使われるかに触れました。このシリーズでは下から上に議論を伸ばしていきます。兵器→戦術→大戦術→防衛戦略→国家戦略の順番です。



「核兵器さえ持てば他の兵器はいらないんじゃないの?」という疑問への回答 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
コメント欄で頂戴した素朴な疑問に焦点をあてた解説記事です。今後とも、コメント欄やブックマークコメントで面白いお題をいただければ、記事にしてまいりたいと思っています。



「もう覚悟はしております」とパイロットは言った - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
スクランブルにおける法律の欠陥から、政府と国民がきちんと軍(自衛隊)に向き合うことを書いた記事です。不合理な命令のなかで任務を果たさねばならないとき、現場はそのムリを背負わされます。戦中であれ、戦後であれ、その事情はかわらないのです。



なぜ日本に戦車が必要か?part2 日本の地形と戦車 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
戦車パート2。今度は「山がちで狭い日本では戦車は使えない」という迷信への反証から始めて、陸上自衛隊の戦車運用について簡単にまとめてみました。次回のパート3では、いよいよ「島国」という日本の防衛特性に触れていきます。が、その前に番外編を一部挟むかもしれません。10年1月中に公開予定です。



事故に遭った護衛艦「くらま」はどういう艦か - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
韓国船の無茶な操船によって、護衛艦くらまが関門海峡で事故に遭いました。この記事では「そもそも”くらま”はどんな仕事の艦なのか」に触れ、今後の運用がどうなるかに焦点をあてました。



なぜ護衛艦”くらま”はコンテナ船よりも脆いのか? - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
衝突した”くらま”が破損したのをみて、一部のジャーナリストを始め、「そんなんで護衛艦は大丈夫なのか」と思われた方が多かったようです。そこで現代軍艦の防御方式について解説したところ、想像以上に多くの反響をいただきました。ヤフーニュースにも何度かリンクされた記事です。

11月 ブログ開始から半年経過


戦艦と軍艦と護衛艦はなにが違うのか? - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
先の記事に関連して、「戦艦」や「軍艦」といった用語は何を意味するのか、意外と知られていないことが分かりました。そこで、ニュースで良く出てくる用語に話をしぼった解説をしてみました。


ジューヌ・エコールの誤り - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
19世紀フランスの防衛論議についてふれ、それをもとに議論の際の注意点を考えてみました。


「次期戦闘機はF-35で内定」は誤報だった模様? - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
「次期戦闘機は35で決まり」という誤報を訂正するとともに、次期戦闘機えらびに深く関係する、防衛技術基盤が崩れかかっている話題について書きました。


ブログを始めて半年がたちました - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
半年が過ぎたことに気づいた記念エントリです。たくさん祝福を頂いてしまいました。オブイェクトさんからも、紹介とリンクを頂きました。

12月 ブログの戦略論、核の先制不使用、最悪の中の最善


戦争はなぜ起こるか5 『限定された平和』 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
シリーズ最終回は、真珠湾攻撃の日に公開しました。これまでのシリーズを振り返り、戦争を防ぐ難しさと、それでもなお平和を目指すということについて考えました。



2位のブログになるためのポジショニング戦略 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
うちのブログを始める前に考えた方針を公開してみました。防衛ではなくマーケティングの話ですが、意外と多くの方にご興味を持っていただけたようです。



核兵器の”先制使用”と”先制核攻撃”の違い - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
「核の先制不使用」が岡田外相はじめ多くの人によって主張されていますが、その「先制使用」についてきちんとした理解を踏まえないで議論されている場合があります。どれほど正しい思想があっても、正確な事実理解を欠いていては、妥当な議論はできないでしょう。



人道的な戦争 - 【移転済】リアリズムと防衛を学ぶ
「非人道的な兵器」があるということは、「人道的な兵器、戦争」もあるのでしょうか? 国際人道法の概要と、そのリアリスティックな精神について書いたエントリです。

来年もよろしくお願いします

 多くの方が読んで下さり、ご反響をいただけたおかげで、アレも書こう、コレも書こうと思って、数えてみれば少なからぬ数の記事を書いてくることができました。ご購読ありがとうございます。

 防衛分野では誤った情報や、迷信がまかり通る一方で、ごく常識的なことが意外なほど知られていなかったりします。ですが、どのような考えを持つにしても、正確な情報なくして、まともな議論はできないと思います。故・江畑謙介氏が仰ったように「好き嫌いは別として、現実に目を瞑っては、決して良い世界はできない」ものだからです。

 拙ブログはこのような考えのもと、できるだけ政治的なカラーは出さないで、当たり前のことを分かり易く、できればちょっとでも面白くお届けできたらいいな、と思っております。

今年一年、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

来年も良い年でありますように!

お知らせ

明日、1月1日は、みなさまごゆっくり過ごされるものと思います。そこで明日の夜7:10〜10:00にNHK教育で放送される「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」が良さそうなので、お勧めいたします。詳しくはこちら!
クラシックに興味が無い人のための「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」のすすめ - みねちんにっき