リアリズムと防衛を学ぶ

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長谷川等伯の真筆と鑑定

安土桃山時代の絵師、長谷川等伯の真筆が新たに出たようです。
保存されてはいたものの作者不明だった屏風絵が、等伯の手になるものとこのたび鑑定されたとか。

京都市の個人所蔵の屏風絵が、国宝「松林図屏風」などで知られる安土桃山時代の画家長谷川等伯(1539−1610年)の真筆であることが26日までに、明らかになった。京都国立博物館の山本英男美術室長が鑑定した。随所に金箔を張った「金碧画」で、「信春」と名乗って活躍していた40歳ごろの作品とみられる。等伯の金碧画では、京都の智積院障壁画(1592年ごろ)が有名だが、山本室長は「それよりも古い作品で非常に貴重」としている。

長谷川等伯の真筆と鑑定 個人所蔵の「花鳥図屏風」 - 47NEWS(よんななニュース)

等伯は能登出身で、30代のときに京都に上り、絵師として大勢しました。当時の京芸術界は既に狩野派一門が権勢を誇っていました。当時の狩野一門の長は狩野永徳ですが、彼もまた極めて有名な絵師です。永徳の技量の高さもあって狩野派が栄える中、門地も後ろ盾もなしに一人のし上がって等伯は評価を勝ち得ました。障壁画の製作コンペで狩野永徳一門と競争したこともあるそうです。田舎から出て来た無名の一絵師からそこまで成り上がるのは、並大抵の腕と努力でできることではなかったでしょう。彼は最終的に豊臣家から作品製作の依頼を受けるほどの大家として世に認められました。

等伯の代表作としてぶっちぎりに有名なのは、東京国立博物館にある国宝「松林図屏風」です。今回鑑定された屏風は金箔貼りの作品だそうですが、松林図屏風は地味といえば地味な作品です。白地に墨で松を描いてあるだけ。ですがその雰囲気はとてもよく、どんな派手な作品より目をひかれてしまいます。

常時公開ではないのですが、展示があるときにはたまに公開されているようです。また、来年2010年は等伯没後400年なので、大規模な展覧会が開かれる予定だそうです。来年を松林図については来年を楽しみに待ちましょう。

なお今回鑑定された屏風については、滋賀県立琵琶湖文化館公式WEBサイト)で所蔵、公開されているようです。一度行ってみたいものです。